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歯科心身症治療

舌痛症・口腔異常感症・顎関節症など

歯科医院で相談してもなかなか解決されなかったお口の悩みはありませんか

◆歯科心身症とは

歯科心身症とは様々な検査をしてもお口の中に患者さんの感じる症状と一致するような問題点はないのにもかかわらず、お口の中に痛みや違和感や不快感など歯科的な自覚症状が慢性的に続く病態のことです。


具体的には

舌痛症」「非定型歯痛」「口腔異常感症」「口臭症(口臭恐怖症)」「歯科恐怖症」「咬合異常感」などがあげられます。お口の中に生じる症状なので、まず患者さんは歯科医院を受診される方がほとんどです。歯科医師により口腔内外の診査診断を受けても、はっきりした問題はなく、明確な診断がつかなかったり、場合によっては原因がわからないことを理由に他院の受診を勧められたりすることもしばしばです。


しかしながら、歯科医院から次の病院を紹介されることはなく、患者さんもどの病院を受診すれば良いかもわからず、自力で歯科医院を検索し転々とする場合もあります。中にはしきりに症状を訴えても理解を得られることが少なく、歯科医院では「異常はない」「気のせい」と言われ、精神科や心療内科の受診を促されて受診したものの、精神科でも「歯のことは専門外だから歯科医院で相談して下さい。」と言われ、堂々巡りになってらちがあかない場合も少なくありません。


歯科心身症は歯科的な問題点がなくても、お口の中に症状が出現していますので、主として歯科医院が真摯に患者さんと向き合う必要があると考えています。歯科心身症を理解し、症状と患者さんと向き合い、必要な治療を提供できる歯科医院は全国探してもほんの一握りです。


歯科心身症の治療は医科・歯科・薬科等の医療連携や大学病院などの高度医療機関との連携が非常に重要であり、包括的な医療が求められます。現状では歯科心身症に対する理解と連携は十分と言える段階ではありません。当院では患者さんに寄り添い、適切な医療が提供できるよう地域に根ざした開業歯科医院として対応できる歯科医療を提供したいと考えています。


院長はこれまで大学病院の歯科心身症専門外来や日本国内唯一の歯科心身症専門クリニックで経験を積んでまいりました。何年、何十年と様々な悩みを抱え、苦しんできた方も数多くいらっしゃいました。少しでもみなさまのお役に立てるよう、お困りのことがあればぜひ相談してみてください。

◆どんな症状が多いですか?

一番多い症状は「舌がひりひり、ぴりぴり痛い」といった舌痛症の症状です。


歯を削ったり被せたり、あるいは根管治療をして神経を抜いたけど痛みが取れないといった非定型歯痛も多い症状の一つです。痛みや不快感は目には見えないので、なんとも表現しがたい症状であることが多いです。

◆舌痛症とは

舌には口内炎や傷、やけどの後などの異常は特にないが、舌がひりひり・ぴりぴり痛みが慢性的に持続している場合には舌痛症の可能性が高いです。


国際疼痛分類第三版(ICHD-3)では臨床的に明らかな原因病変がなく、三ヶ月以上にわたって毎日二時間以上繰り返される口腔内の灼熱感または知覚異常と定義されていますが、世界共通の診断基準がないことから研究や報告も様々存在します。


世界保健機構(WHO)が公表する国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)でも舌痛症が定義されており、一日二時間以上、50%以上の割合で三ヶ月以上持続する口腔内の灼熱感とされており、不安や怒り、フラストレーションなど重大な精神的苦痛を伴うものとされています。痛みが出現することで、食事や会話にも支障がでる場合があると言われています。


舌痛症の痛みの程度は時に重篤であり、痛みのために仕事ができなくなったり、日常生活にも多大な影響を及ぼしたりと、痛みがなければこれまでできていたこともなかなか思うようにできなくなってしまうこともしばしばあります。


舌痛症は英語ではBurning Mouth Syndromeと呼ばれています。英語名のようにやけどしたような灼熱感が特徴で、日本語で表現すると「ひりひり」「ぴりぴり」「じんじん」「チリチリ」といった痛みであるとされています。基本的には舌の両側性の痛みであり、最も痛みが出現しやすい場所は舌の先端と言われています。痛みやしびれとあわせてお口の乾燥感や味覚の変化を伴う場合があります。60代以降の女性に多く、心理社会的背景など様々な要因との関連性が示唆されています。


近年では脳画像検査をもちいた研究もされており、中枢神経系と末梢神経系の変化が示唆されています。


精神疾患と関連した症状とみなされることが多いですが、実際にうつ病などの精神疾患に罹患していた方(あるいは治療中)は少ないと報告されています。


歯科治療を受けた後から症状が舌の痛みが出たとおっしゃる方も多いですが、これは実際には原因ではなくきっかけにすぎません。歯科治療が契機となり出現した疾患ではありませんし、歯科治療が有効な治療法でもありません。


舌痛症は臨床的に一次性(primary)と二次性(secondary)に分類されます。二次性の舌痛症は診査診断によって舌の痛みの原因を見つけ出し、主の原因を取り除く原因除去療法を行うことで症状が緩和・改善されることがほとんどです。しかしながら、一次性の舌痛症の場合は明確な診断基準があるわけではないので、基本的には「二次性の舌痛症ではない」といった除外診断にて原因不明の舌痛症と診断されることになります。


ですので、様々な治療をしたけどまだ舌がヒリヒリしびれているといった状況は一次性の舌痛症であり、このような病態こそが真の舌痛症と言えるでしょう。


◆舌痛症の治療法は?

舌痛症は原因が未だ解明されていない点も多いので、症状の軽快が期待できるような対症療法を行います。


特に積極的な治療を行わずとも自然治癒することも数%程度存在すると言われていますが、多くの患者は年単位といった長期的に痛みを訴えることが多く、長らく続く痛みに耐え続けることも限界があるように思われます。


舌痛症に対する積極的対症療法の第一選択は研究報告から抗うつ薬等による薬物療法とされています。


薬物療法の前には、舌の痛みの原因になるようなお口の中の問題がないかを十分に診査診断を行う必要があります。


当院ではマイクロスコープを用いた口腔内精密検査を実施しておりますので、痛みの原因となるお口の中の問題点がないかどうか、診査診断をした上で、患者様とともに治療方法を検討していきます。


薬物療法に関しては、痛みの程度や全身疾患の有無などを総合的に判断し、処方内容を決定していきます。


薬物療法の効果を継続的にみていくには、少なくとも3ヶ月から半年ほど経過を見ていきます。薬の「合う合わない」も個人差が非常に大きいですので、慎重に処方調整を行なっていきます。


「新しくかぶせたセラミックと舌がこすれるから、新しく作り直して欲しい。」「歯と舌がこすれて痛いから歯を抜いてほしい。」などと感じる場合には、無理に歯科医師に歯科治療をお願いしないようにしましょう。歯科医師も患者さんのためとおもって無理な意味のない歯科治療はすべきではありません。患者さんも歯科医師も一度冷静になり、正しい舌痛症への向き合い方を考えましょう。


歯科治療が必要な場合は舌痛症の治療段階を勘案した上で治療計画を立てていくことが望ましいと考えています。

◆非定型歯痛・非定型顔面痛

お口のトラブルで多いのは歯の痛みですが、多くの場合原因除去療法が中心となる歯科治療にて原因を取り除くことが可能です。例えば歯髄炎の場合には、根管治療(抜髄)をすることで強い痛みは速やかに解消されます。


ところが、むし歯治療や、根管治療、抜歯などの歯科治療を行なっても、歯の痛みが消失せず、むしろ悪化するような歯の痛みが存在します。


歯科治療を繰り返し行なっても効果がなく、痛みが持続する原因不明の歯痛を「非定型歯痛」(Atypical Odontalgia:AO)と呼ばれています。


もともとは原因の特定できない顔面の持続する痛みのことを「非定型顔面痛」(Atypical Facial Pain:AFP / Persistent Idiopathic Facial Pain:PIFP)と呼ばれていますが、口腔内の歯肉や歯に痛みが限局している状態を「非定型歯痛」と呼んでいます。


痛みは片側性に生じたり、時には痛む部位が移動する場合もしばしば見受けられます。


頭痛との関連性や脳過敏症候群の一連の症状としても関連があるのではないかと言われていますが、確立した治療方法はなく、痛みをやわらげる対症療法が用いられます。


また、非定型歯痛の背景に本当に歯原性の疾患が潜んでいないかを

十分に診査診断をする必要があります。


お口の中の痛みは歯の問題で生じる「歯原性疼痛」か歯以外の問題で生じる「非歯原性疼痛」の2つに大きく分類されます。


非歯原性疼痛であることを診断するには、まず歯原性の問題がないかを

徹底的に診査した上で、除外診断として非歯原性疼痛を疑う必要があります。


患者さんは「歯が痛い」と思って歯科医院を訪れても、原因はむし歯であったり、中には筋肉の痛みが原因で歯が原因ではないケースも多く存在します。


治療方法を決定する前に、十分に患者さんの訴える痛みの性状に向き合い

原因が何かを探らない限り、治療方法を決定することはできないのです。


歯科医師は「痛みが取れないなら神経を抜きましょう。」と安易に

歯科治療に踏み出さないことが必要です。


歯科治療ではどうしようもできない痛みが存在することを理解して非歯原性疼痛の可能性も視野に入れて、痛みを見極めていく必要があります。

◆口腔異常感症

口腔異常感症(Oral dysesthesia / Oral Cenesthopathy)とは医学的または歯科的な原因がなくても口の中に異常な感覚を引き起こす状態を示します。


「口の中がネバネバする。ドロドロしたものが湧き出てくる。」

「ティッシュやタオルを口の中に入れておかないと唾液が止まらない。」

「口の中がむずむずする。」

「口の中に虫がはしるような気持ち悪い感覚がある。」


などといった、お口の中の不快感の訴えが強いことが特徴的です。


痛みを伴うこともありますが、異常感だけが前景にたつ場合も多く存在します。


お口の中の異物感が強い場合には、セネストパチーと呼ばれることがありますが、両者を分類することは非常に難しいと考えられています。


研究的には原因は脳機能のアンバランスが生じていることで、口腔内の違和感や異物感と関連があるのではないかと示唆されていますが、舌痛症や非定型歯痛と同様に確立した治療方法はまだ解明されていません。


また、薬物治療において舌痛症といった疼痛やしびれを軽減させるよりも、口腔異常感に対する不快感の軽減のほうが難しく、薬物療法の過程においても劇的な改善が難しいことがしばしば見受けられます。


患者様がしきりに訴える違和感が現実的なものではなく、その他の全身症状も併発している場合には、精神疾患との関連性を疑う場合もありますので、医科と連携をとりながら治療にあたる場合がほとんどです。


と言っても不快症状が長く続く状態はとても辛く、心理的にも不安定になりがちです。


少しでも不快感が軽減できる方法を一緒に検討していきたいとおもいます。

◆口臭恐怖症

実際には口臭はないものの、ご自身では強い口臭があると信じてしまっている病態を口臭恐怖症と呼ばれています。

生理的な口臭は誰にでもあるものですが、歯周病などが引き起こす病的な口臭があると強く思い込んでいる状態のことを示します。


家族や知人に口臭の有無を尋ねたりしても口臭がないと言われてしまい、実際に口臭があるかを歯科医院や大学病院で特殊な検査しても、病的な口臭は検出されず、検査結果に納得できない方もおられます。


それでもご自身で口臭の原因を探ろうと歯科医院や耳鼻科を転々とするも、原因がわからず悩まれる方も少なくありません。


自身の口臭があると思っていることで、人との会話の際は口臭を悟られないように手で口を覆おう仕草を見せたり、対話の距離をとったりすることも特徴のひとつと言えるでしょう。


症状は比較的長期にわたり固執している場合が多く、根気良く治療に取り組んでいく必要があると言われています。


積極的な対症療法として舌痛症などど同様に薬物療法が用いられますが、歯科医院では歯周病メインテナンスといった口腔内のケアや心理療法を組み合わせた支持的療法を取り組んでいくのも一つの方法であると考えています。

◆咬合異常感

咬合異常感( Phantom Bite Syndrome:PBS)とは、入れ歯、被せ物やインプラント、矯正治療などの歯科治療後からかみあわせの不具合を訴え続ける症状が出現している症候群とされています。


かみあわせの不具合を訴えるため、歯科医院にて咬合調整や被せ物の入れ替えを執拗に依頼し、歯科医師も対応に苦慮する場合があります。


補綴専門医に噛み合わせや被せ物の状態を確認しても、咬合の異常を見いだせない場合がほとんどです。患者さん自身はかみあわせを調整してもらうことで、感じている違和感は消失するはずだと確信している場合が多いですが、実際には咬合の明らかな異常はないので、調整してもしても患者さんの感じる違和感は解消されません。


装着した被せ物を外して欲しいと懇願され、外したとしても違和感が改善することもありません。また、元の噛み合わせに戻して欲しいと依頼されることもありますが、感覚的な問題なので、患者さんの訴える「元の状態」に戻すこともできません。歯科医師はむやみに歯科治療に手を出すことなく、対応に慎重にならねばなりません。無意味な調整や歯科治療を何度も繰り返している場合には、まずは中断することが望ましいでしょう。


噛み合わせの不具合だけではなく、全身的な不調を同時に訴える場合も少なくありません。頭痛、肩こり、めまい、姿勢の不具合などを訴える場合もあります。


これらの異常感覚の改善は難渋するケースが非常に多いですが、心理療法や薬物療法、ならびに各分野専門医と連携をとりながら、患者さんにとって良い治療計画を考えていく必要があると思います。



当院の歯科心身症治療の流れ

費用(※症状・状態によって金額は異なります。)

※歯科心身症治療は全て自由診療となります。(保険外診療です。)

※薬物療法の場合には処方内容によりお薬代が別途かかります。

​※ご希望の場合には、オンライン診療も実施可能です。遠方の方でも個別にご相談承ります。

治療期間・回数

※お口の状態や症状によって治療期間が前後するため、治療回数や治療期間は目安とお考えください。

​リスク・副作用

  • お薬の効果は個人差があります。

  • お薬の効果が出てくるまでは少なくとも1週間から2週間は服薬継続できるかどうか慎重に経過を見ていく必要があります。

  • 薬物療法に伴う、眠気やふらつき、便秘などの副作用が服薬開始〜一週間程度は注意する必要があります。(副作用の出現が少ないよう、初回は処方量を少なく調整していきます。)

  • 万が一副作用と思われる症状が日常生活に支障が出る場合にはただちに服用を中止し、当院受付デスクまで連絡をお願いいたします。

  • 症例によっては治療期間が治療計上の期間よりも長くなる場合があります。

  • 自由診療ですので、診察代やお薬代も含め保険適応ではなく全額自己負担となります。

注意事項

  • 歯科心身医学療法は医科医療機関との連携を行いながら実施いたします。初診の際には必ずかかりつけの医科医療機関(内科、耳鼻科、精神科など)からの紹介状をご持参ください。

  • 歯科心身医学療法による治療はすべて自由診療となり、診察代やお薬代は全て自己負担となります。

  • 他院での治療状況や他に治療中のご病気がある場合にはかかりつけ医と相談し当院での薬物療法は見送る場合もございます。

  • 必要時は大学病院や各種関連医療機関へご紹介をさせていただく場合がございます。

  • 歯科心身医学療法はあくまでも対症療法です。少しでも症状が軽減する方法を一緒検討していきましょう。

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